「会社を良くしたいだけなのに、なぜか社内がギスギスし始めた…」
「長年会社を支えてくれた功労者を、良かれと思った改革が追い詰めている…」
もし、あなたがそんなジレンマに少しでも心当たりがあるなら、
この投稿はあなたのためのものです。
少しだけ想像してみてください。
あなたは意を決して「DX推進室」を立ち上げ、
期待の若手をリーダーに任命します。
未来への第一歩を踏み出した、
晴れやかな気持ちです。
しかし、現場では見えない壁が生まれていました。
長年、勘と経験で品質を守ってきたベテラン社員たちは
「また社長が何か始めたぞ」
「どうせ俺たちの仕事は分かっちゃいない」
と冷ややか。
期待を背負った若手リーダーは、
現場の協力が得られず孤立します。
業務改善を提案しても「そんな理想論じゃ現場は動かない」
と一蹴され、会議室で一人、頭を抱える日々…。
社長であるあなたの元には、
若手からの「協力が得られません」という悲痛な報告と、
ベテランからの「現場を混乱させるな」という不満が届く。
会社を良くするための変革が、いつの間にか組織の一体感を蝕んでいく。
…この光景、実は私自身が過去に何度も目撃し、
経験してきたものなんです。
この悲劇は、なぜ起きてしまうのでしょうか?
それは「DX推進室」という”箱”を作った瞬間に、
DXが「他人事」になるからです。
多くの経営者がこの罠に陥っていますが、実は様々な調査でもその危険性は指摘されています。
- 問題1:DXの「丸投げ」構造 専門部署ができた途端、他の社員は「DXはあの部署の仕事」と当事者意識を失います。IPA(情報処理推進機構)の『DX白書』でも、DX成功企業の共通点は「全社的な危機感の共有」だと述べられており、丸投げは完全にこれに逆行します。
- 問題2:新たな「サイロ(壁)」の誕生 ただでさえ部門間の壁があるのに、「推進室 vs 既存部門」という新たな対立構造が生まれます。経済産業省の『DXレポート2』が指摘する「組織の縦割り」問題が、さらに深刻化してしまうのです。
この状況、本当にワクワクしませんよね。
でも、安心してください。
解決策はあります。
重要なのは、箱(部署)を作ることではなく、
人と組織が自然に動き出す「仕組み」を設計することなんです。
【なぜ人は抵抗し、孤立するのか】
この問題の根っこは、ロジックではなく「感情」にあります。
ベテラン社員が抵抗するのは、
単に変化が嫌いだからではありません。
その裏には、
「自分の仕事が奪われるかもしれない」という恐れや、
「長年培ってきたやり方を否定された」という傷つけられたプライドがあります。
一方、若手が孤立するのは、能力がないからではありません。
「結果を出さねば」というプレッシャーと、
「現場の知恵を貸してほしい」という切実な想いが空回りしているだけなのです。
つまりDXとは、テクノロジーの問題ではなく、
人の感情をどう解きほぐし、繋ぎ合わせるかという、
極めて人間的な挑戦だと言えます。
【明日からできる「橋渡し」のアクション】
では、具体的にどうすればいいのか?
外注や丸投げではなく、
「現場主導」でこの状況をひっくり返す、
3つのステップをご紹介します。
- 役割の再定義を宣言する まず経営者自ら、推進室のメンバーに「君たちは実行部隊じゃない。現場のヒーローを支えるサポーターだ」と伝え、その役割を全社に宣言します。
- 『お困りごとヒアリング会』を開く 主役はベテラン社員です。若手は聞き役に徹し、「一番面倒な作業は?」「ここが一番ノウハウが必要な部分は?」と、彼らの知恵と経験に敬意を払って質問します。
- ノーコードで『超・試作品』を作る ヒアリングした課題を、プログラミング不要のノーコードツールで「とりあえず形に」してみます。完璧じゃなくてOK。「こんなのできたんですけど、もっと良くするにはどうしたらいいですか?」と、ベテランに相談しに行く。
この「相談と試作のキャッチボール」こそが、
バラバラだった組織に「共創」という化学反応を起こす第一歩になるのです。
私たちが覚えておくべきことは、たった3つです。
- DX推進室は「実行部隊」ではなく、現場を助ける「触媒」である。
- 本当に使えるツールは、外部の専門家ではなく「現場」からしか生まれない。
- 経営者の真の仕事は、部署という「箱」を作ることではなく、人と人をつなぐ「橋」を架けること。
DXの本質は、組織開発です。
あなたの会社を、テクノロジーに振り回されるのではなく、
テクノロジーをワクワクしながら使いこなす
「自走する組織」へと一緒に進化させていきませんか。
「この記事でお話しした内容は私の経験から導き出した『最初の成功は、ベテランに捧げよ』という哲学をベースになっています。私の実体験を交えて、より詳しく解説した動画をご用意しました」 コチラより
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